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神保晃子

私の道


15年前、誰に強制されたわけでもなく求められたわけでもなく自分で選んだこの道。

親の元で修行して親の元で仕事をする。

果たしてこれでいいのか。

甘い考えなんじゃないのか。

始めたばかりで技術が未熟なのは当たり前の事なのに、

自分の未熟さに心が負けて技術を鍛錬するよりも感情論に走る。

感情論に走ったって技術が向上するわけでもないのに、

神経が研ぎ澄まされれば良いものができると信じてしまう。

「やきものやの家で育ってきた私には何かあるはず」と思い込んでしまう。

こんな日々を長く過ごしてきて、

こんな自分が嫌になって、

これじゃいけないと気づいたのはだいぶ経ってからの事でした。

私は何をしなければいけないのか、何を目指していたのか。

ああ、そうだった、

私が目指すのは「ロクロが上手いこと」

良いものを作るとか、芸術品をつくるとか、世の中に認められたいとか、

そんな大それたことじゃない。

例えていうなら、

スポーツ選手が大会で見せる「鍛え上げたスキル」のようなやきものの技術。

プロでしかありえない技術。

ろくろが上手くならなければ。

ろくろさえ克服すれば。

ろくろに自信が持てれば。

そう思って、それから体を鍛え真剣にろくろをやるようになりました。

真剣にやれば女性の私でも上達する。

自信もついてくる。

そしてそれは同時に、

やきものやとして、そして親の仕事を継いで生きていく覚悟のようなものを与えてくれました。

そんな覚悟を見て取ったのか、両親は私のものに対して厳しくなりました。

そして覚悟が出来れば、

「親の元で修行して親の元で仕事をする」

自分を咎める気持ちを克服していけたように思います。

悩んで苦しかった時期は長かったけれど、私にとってとても貴重なものです。

ろくろが上手くなりたい

ただ、ろくろが上手くなりたい。

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