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靖之の器 3


靖之君は釉による表現を目指す一方で、動物や丸、三角、四角など様々な模様を施した器も作っています。

この模様を描き出しているのが、「象嵌(ぞうがん)」という技法です。

「象嵌」とはどんな技法なのかを簡単に説明したいと思います。

これは、成型後に土の表面を削り、そこに異なる色の粘土を埋めこむことで模様を描き出すものです。

この飯碗の写真で言うと、

黒い色の粘土で器の形を作った後、まずその表面に、描きたい模様を線彫りします。

次に、その彫った所(溝になっている部分)に素地とは違う白い色の粘土を埋めこんでいきます。

その後、その表面を削り落としていくと、くっきりと模様が現われます。

線で模様を描いているので、「線象嵌(せんぞうがん)」と言います。

「象嵌飯碗」

「線象嵌カップ」

前回までご紹介したような、釉が特徴の作品とは少し雰囲気が違います。

なぜ、この技法を?と思われるかもしれませんが、彼は、この黙々とした作業工程自体が好きなようです。

好んで描く模様は、三角、四角などの図形や、木や星を抽象化したもの、動物(の中でも、鹿)などです。

「その時に頭に浮かんだものを即興で描いている」というので、靖之君の心象風景なのでしょうか。

自分の感性がそのまま模様に表れてくる、釉の追求とはまた少し違った世界です。

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