前回ご紹介しましたが、靖之君のもので「灰釉(はいゆう)」を使っているものがあります。
まず、灰釉の説明を。
「灰釉」とは、主に木を燃やした灰を原料にした釉(うわぐすり)の一種です。
例えばですが、「灰」の前に「ワラ」がつけば、ワラを燃やしてできた灰を原料にした釉、「ワラ灰釉」。
「桐」がつけば、桐の木を燃やしてできた灰を原料にした「桐灰釉」。
(もちろん、この灰だけでは釉としては使えないので、いろいろ調整します(釉の調合))
「灰釉」からは、やきもの本来の、柔らかい魅力と言うのでしょうか、そんな雰囲気を持つものが生まれてきます。
大地の感覚でしょうか。
土も大地から、釉も大地から。
靖之君の思う「力強い」というイメージに、この大地の生み出す感じというか、大地に根差した感じが合っているのでは、と思っています。
この柔らかい景色、表情を生み出すのは、前回の「天目釉」と同様に、窯の炎です。
窯の神様、炎の神様に身を委ねる瞬間がある、そんな仕事です。
「ぶどう灰釉八角鉢」